「がんばれ」の前に、できることがある ― ブリリアスが考える学習支援の基本

Brillius Groupのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。この記事が、新しいホームページでの最初の投稿です。

私たちは福岡市東区・博多区で、学習支援を中心とした放課後等デイサービスと、学習の困難さを抱えるこどものための学習障害専門塾を運営しています。記念すべき最初の記事では、日々の支援のいちばん土台にある「学習支援の基本的な考え方」をお伝えします。


目次

目指しているのは「自分で選べる」こと

Brillius Groupは、「現在の困難さを軽減する支援を通し、こどもたちの未来の自立の形を一緒に模索する」ことを大切にしています。

「自立」と聞くと、なんでも一人でできるようになることをイメージされるかもしれません。でも私たちは、自立とは「必要な支援を適切に受けながら、自分自身の軸で選択できる状態」のことだと考えています。

そのために必要なのが、なりたい姿、自己理解、環境の理解の3つです。自分はどうなりたいのか。自分は何が得意で、何に困りやすいのか。そして、どんな環境や手助けがあればうまくいくのか。学習支援は、この3つをこどもと一緒に少しずつ育てていく営みでもあります。

また、困りごとは本人だけから生まれるものではなく、環境との関係の中で生まれます。だから私たちは「こどもを変える」ことだけを考えるのではなく、こどもを取り巻く環境をどう整えるかも、同じくらい大切にしています。


学習支援を含む発達支援は、「問題解決」そのもの

「やればできる」「勉強時間が少ないのは怠けているからだ」。こどもの成績が上がらないとき、ついこんな言葉をかけてしまうことはありませんか。けれど、叱ったり励ましたりするだけでは、根本的な解決にはなかなかつながりません。

私たちは、学習支援を含む発達支援を、問題解決のプロセスだと捉えています。理想とする状態と今の状態のギャップを把握し、その原因を特定して、解消していくということです。

まずは憶測をできるだけ排除して、事実を集めます。たとえば「定期テストの5教科平均が30点だった」「毎日の学習時間が1時間だった」といったことです。次に、取り組むべき問題を決め、その原因を掘り下げます。そして原因に合った解決策を立てて実行し、最後に「本当に効果があったのか」を確かめます。効果のない方法をいつまでも続けないことも、同じくらい大切です。


原因は、ひとつではない

このプロセスの中でいちばん大切なのが、原因を丁寧に掘り下げることです。

たとえば「学習時間が短い」という問題があったとします。その理由を考えると、「学習意欲が低い」「勉強以外にやりたいことがたくさんある」などが出てきます。さらに「なぜ意欲が低いのか」を掘り下げると、学ぶ目的が持てない、失敗体験が積み重なっている、課題の難しさや教え方が本人に合っていない、体調や環境が整っていない……と、さまざまな可能性が見えてきます。この段階では、当てはまるかどうかはいったん脇に置いて、「もれなく、だぶりなく」出し切ることがポイントです。

学習のつまずきの背景として、私たちは大きく6つの領域を考えています。言語理解やワーキングメモリーなどの認知機能、読み書きや算数だけが極端に苦手な特異的な学習困難(LD)、ASDやADHDなどの発達特性、見る・聞く・体を動かすといった感覚や運動の機能、「どうせできない」といった心理的な要因、そして生活リズムや家庭学習、これまでの学習機会などの環境の要因です。ひとつだけが原因ということはむしろ少なく、いくつかが重なっていることがよくあります。

なかでも学習障害(LD)や発達障害は、周囲から理解されにくい困難さです。読み書きが苦手な子でも、まったく読めない・書けないわけではありません。がんばれば読めるし、書けてしまいます。でも、読むことに脳の力を使い果たして内容が頭に入ってこなかったり、文字を書くことに集中しすぎて考える余裕がなくなったりしているのです。そうした子に、何の作戦もないまま「がんばれ」で乗り切らせようとすると、学習そのものを嫌いになってしまいかねません。


原因がわからなくても、支援は始められる

原因を探るために、私たちは保護者の方へのアンケートと日々の観察をもとに支援の方針を立て、必要に応じて専門職が読み書きなどをより詳しく評価します。

ただし、検査やアセスメントをとること自体が目的ではありません。あくまで、こどもの困難さを軽減し、まなびを進めることが重要です。原因が完全に特定できなければ支援できないわけではなく、いろいろな課題を試しながら反応を見て、その子に合う方法を探っていくことも大切なアプローチだと考えています。


「伸ばす支援」と「補う支援」を組み合わせる

支援には大きく分けて2つの種類があります。ひとつは、指導やトレーニングによって力を育てる・伸ばす支援。もうひとつは、道具や環境の工夫、合理的配慮によって苦手さを補う・支える支援です。私たちは、この2つをバランスよく組み合わせることを大切にしています。

たとえば、読み書きに強い困難がある一方で、タブレットの操作は得意な子がいたとします。音読に時間がかかって内容が頭に入らない、板書を写すのが間に合わない、漢字がどうしても覚えられない、という困りごとを抱えています。

この子には、文字と音の対応を多くの感覚を使って練習したり、目の動きのトレーニングに取り組んだりする「伸ばす支援」が考えられます。同時に、タブレットでノートをとる、教科書を撮影して読み上げ機能を使う、テストでルビや拡大、時間延長をお願いする、といった「補う支援」も考えられます。

「道具に頼ると、ますますできなくなるのでは」と心配される方もいらっしゃいます。でも、視力の弱い人がメガネをかけるのと同じで、補う支援はまなびを進めるために重要な要素です。読む・書くという入り口でつまずかず、学ぶ内容そのものにたどり着くための手段なのです。


何より大切なのは、学習意欲

学習においてもっとも大事なものは何か。私たちは、学習意欲だと考えています。意欲を支えるのは、興味(好きなこと)、学習への取り組みやすさ、そして「もっとできるようになりたい」という向上心です。決して、無理にやらせることではありません。

こどもが見せる「やりたくない」「どうせできない」という気持ちは、とても大切なサインです。その気持ちを抱えたままでは、どんなに良い教材を使っても学習の効果は限られてしまいます。「自分にもできる」「間違えても大丈夫」という安心感があってはじめて、こどもは学習に向かうことができます。だからこそ、まずはその気持ちに向き合うことから始めます。


ブリリアスの学習支援、3つの柱

ここまでの考え方をまとめると、ブリリアスの学習支援は3つの柱で成り立っています。

1つめは、学習意欲や自己効力感の低下に向き合うこと。2つめは、習熟度や認知機能、運動の力などをアセスメントし、その子の強みと弱みを把握すること。そして3つめは、本人に合った難易度・量・ペースを守り、一歩ずつ積み上げることです。

特に算数・数学は、一度わからなくなると、その先の授業の内容がほとんど理解できなくなってしまいます。学年のペースに無理に合わせるのではなく、つまずいたところまで戻り、その子のペースでじっくり積み上げていく。遠回りに見えて、それがいちばんの近道だと私たちは考えています。


おうちでの関わりのヒント

ご家庭でお子さまの学習を見守るときにも、同じ考え方が役立ちます。

うまくいかないときは「なぜできないの?」と問いつめるのではなく、「何が負担になっているのだろう?」と、困りごとや行動、環境を少し客観的に観察してみてください。やる気の問題だと決めつけずに見てみると、意外な原因が見つかることがあります。

そして、苦手なことばかりでなく、お子さまの「できること」「得意なこと」にも目を向けてみてください。タブレットが得意、特定の分野にとても詳しいといった強みは、その子に合った学び方を見つける大きな手がかりになります。


おわりに

学習の困難さは、外からは見えにくいものです。だからこそ、正しく理解することが支援の第一歩になります。そして何より、こどもが無理なく、自分のペースで取り組めることが大切です。

このブログでは今後、学習障害(LD)や発達障害のこと、学校への合理的配慮のお願いの仕方、ご家庭でできる工夫など、日々の支援の中で得た知見を少しずつ発信していく予定です。

お子さまの学習について気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

目次